CROSS TALK
クロストーク定番商品はどう生まれ、
どう育つ?
マーケティング部&
商品開発部対談
今回は、マーケティング部と商品開発部に所属する2人の社員が登場。
丸美屋の主力商品の一つである「のりたま」の話をきっかけに、商品開発のプロセスやその後の苦労など、
「定番商品はどう生まれ、どう育つ?」といったテーマで話が盛り上がりました。
-
Mさん
2019年入社。大学院では植物の病気について研究。現在は商品開発部に配属になって5年目。当社の主力カテゴリーの一つである「ふりかけ」を担当している。 -
Iさん
2009年入社。最初は商品開発部の配属となり、ふりかけや釜めしの素などを担当。「のりたま」のリニューアルも手掛ける。その後、マーケティング部に異動し、現在に至る。
「のりたま」はどんな存在?
I:最初のテーマは「のりたま」です。この商品はうちの会社の社名より有名ですからね。もう丸美屋のアイデンティティになっているよね。しかも、親子三世代にわたって知られている商品って少ないんじゃないですかね。
M:本当にそう思います。お客様相談室に寄せられるお褒めの言葉も、小さいお子さんからご年配の方まで幅広いですし、愛してもらっているなあと実感します。
I:何といっても、もう9代目!初代「のりたま」と今の「のりたま」だと全然別物ですからね。昔はおかずが少なく白米だけをたくさん食べることも多かったし、肉体労働で汗をかくことも多かったから、塩分が今の倍くらいありましたからね。
M:今の味のベースになっているのは、5代目くらいからでしたっけ?
I:そうだね。黄色い大きなたまごの粒が入ったのが5代目からだね。
I:ちなみに、商品開発部から見た「のりたま」はどんな存在なの?
M:商品として、もう完成されていますよね。あれをリニューアルするとなると本当に難しいと思います。
I:とはいえ、最近は5年おきにリニューアルしているからね。でも、面白いのは、「のりたま」60周年の時に現在の9代目の味に変わったんだけど、その一つ前の8代目と比べて、どっちが皆さんの「のりたま」のイメージに近いですか?という消費者調査をしたら、9代目という声が多かったんだよね。
M:そうでしたね。実際は8代目の方が近いはずですよね。でも、時代が変わると、お客様の味覚や求めるものも少しずつ変わっていっているということですね。
I:そう。だから、その時代その時代に求められている「のりたま」の姿を追い求め続ける必要がある。ただ、明らかに変わるとお客様が離れてしまうし、それはもう「のりたま」じゃない。リニューアルは変えるというより、さらにおいしくするという表現が近いかもしれないね。
商品を「育てる」とは?
M:このテーマも丸美屋らしいテーマですね。マーケティング部の立場から、このテーマに答えるとすると、どういう回答になりますか?
I:これも「のりたま」のリニューアルを例に挙げると、60周年で9代目にする時に改めて「のりたま」のヘビーユーザーのお客様に「のりとたまごのどちらを求めているか?」という調査を行ったところ、「たまご」という回答が圧倒的に多かったんだよね。だから、今の時代に「のりたま」を育てるとしたら、たまごの改良が必要じゃないかという結論になりました。
M:なるほど。「のりたま」を味の面で育てるとなると、商品開発部の立場だとかなりプレッシャーですね(笑)。リニューアルの度にどんどん改良のレベルも上がっていますから。ただ、ここまで長く愛されている商品の場合、同じ担当者だと煮詰まってしまうから別の担当者がリニューアルを手がけた方がいいということもありますよね?
I:そう思います。新しい目線で商品を見ることができるし、実際、「のりたま」に限らず、「今回のリニューアルは難しい」とか「今回は比較的リニューアルしやすい」とかあるよね?
M:同じ商品開発部でも担当する方によって改良の方向も違いますしね。
I:色々なタイプの人がいるよね。例えば、それうまくいくの?って方法にチャレンジする挑戦タイプの人や、味のバランスを整えるのが上手な人とか。
M:わかります。味のバランスを整えるのが上手な先輩の後だと味が完璧に整いすぎていて、もうどこを直せばいいかわからないことがあります。あ、でも挑戦するタイプだとこれまでになかったアイデアが詰め込まれていたりもするので、そこから更なるアイデアを出すのがなかなか難しいですね。丸美屋は常にお客様の声に耳を傾けながら、何度も、何度も商品をリニューアルしていきますし、リニューアル後に反応が良くなかったら、またすぐリニューアルしますし。こういう姿勢が「商品を育てる」ということなのだと思います。
I:それからマーケティング部目線では、お客様と商品との新たな接点を増やしていくことも「育てる」という感覚だと思うな。のりたま自体のリニューアルとは別に、たまごの量をより増やした期間限定の「のりたま」を発売したり、子供向けにひよこのチップを入れた「のりたま」を発売したり、のりたま周辺の商品を発売することで、一度「のりたま」から離れたお客様や新たなお客様をふりかけの棚に引き寄せ、再び「のりたま」を手に取ってもらうようにすることも、育てていると言えると思います。
M:そうですね。そう思うと、まだまだ「のりたま」も育てていける商品ですね。
マーケティング部と
商品開発部の裏側は?
I:さあ、ここまで「のりたま」を中心にリニューアルの話が多かったので、次は丸美屋の新商品開発の裏側の話をしましょうか?
M:たしかに。丸美屋のマーケティング部や商品開発部がどんな仕事をしているかも就活生の皆さんに知ってほしいですからね。
I:じゃあ、私から。新商品の場合、まず私たちマーケティング部が起点になることがほとんどだよね。たとえば現在、私が担当している「混ぜ込みわかめ」の新しい味を発売したいとなったら、いま、市場ではどんな味が人気なのか、人気になりそうかといった調査から始めます。
M:丸美屋の場合、社員にアイデアを募る仕組みもありますよね?
I:そうだね。突飛な意見も多いけど(笑)、みんなで考えられるのは丸美屋の素敵な社風ですよね。そうして、たくさん出てきたアイデアの中から、マーケティング部の私たちの知見や消費者調査などをもとに数案に絞り込んでゆく。この辺りからMさんたち商品開発部の登場だね。
M:商品開発部は、マーケティング部から「こういうコンセプトのものができますか?」という依頼が来るので、試作品をつくっては食べてもらって、マーケティング部が目指しているゴールに近づけていきます。
I:そこからが苦難の道のりだよね(笑)。商品開発部のある埼玉の工場とマーケティング部のある銀座のオフィスの間を何度も試作品の宅急便が行き来して、電話で一緒に「ああでもない、こうでもない」と繰り返していますからね。
M:本当にそうです!ひたすら試作品をつくっては食べてもらって地道に近づけていくしかないですし、私が「おいしい!」と思っても、Iさんに「何これ?」と言われることもありますからね(笑)
I:まあ、コミュニケーションを重ねることで、お互いのイメージをすり合わせていくことが何より大切な仕事だから(笑)。
M:はい。それに、試作品を作る時は、目的の味を実現するためにどのような原料を使用するのか、どのような製法で商品をつくり上げるのかなども具体的に考えていきます。どんなにおいしくても原価が高すぎたら商品にならないですし、小さなボウルでの試作段階では上手につくれたとしても、それを工場の生産ラインに落とし込んでも同じ味が再現できるのかということまで考えなければなりません。そして実際に工場の生産ラインに落とし込んで安定的に製造できるのかも検証します。
I:丸美屋の商品開発部の仕事はそばで見ていても、すごく広範囲だよね?他の会社だと、工場への落とし込みは生産技術といった職種の人が担当する食品メーカーも多いってききますからね。
M:そういう意味では、私たち丸美屋の商品開発部は新しい原料を探すところから、商品を生産ラインへ落とし込むところまで行いますからね。あと、最終的に出来上がった商品裏面の成分表示も書きます。仕事の幅は広いですが、自分が担当する商品の最初から最後まで関わることができるので、そのぶん、商品への思い入れも強くなりますし、お客様からうれしい感想などが届いた時は心から「頑張って良かった」と思うことができます。
I:それに1つの商品を複数人ではなく基本的には一人で担当して進めるから「自分がつくった商品」という実感を得ることができるよね。また、業務範囲の幅広さでいうと、マーケティングも様々な商品に携わるチャンスがあるし、中身ができた後のパッケージの制作やそこに入れるキャッチコピーの開発、あと、その商品を営業がどうやって取引先に勧めるかといった資料の制作や説明も行う。私もやっぱり自分が担当した商品が小売店の棚に並んでいるのを見ると、うれしくなりますね。
「のりたま」と
二人の今後の目標は?
I:最後のテーマはこれからの目標についてだそうです。まず、「のりたま」ですが、発売から60年以上が経ったとはいえ、私自身はまだまだふりかけを食べている人は少ないと思っているんです。
H:ふりかけ自体に伸び代があるということですか?
I:そう。共働きの家庭も年々増えているし、新型コロナをきっかけに内食も見直されています。たとえば、お刺身だったら醤油、豚カツだったらソースをかけるのが当たり前のように、ご飯だったらふりかけをかけるのが当たり前といった存在を目指せると思っていて。そのふりかけの先頭を「のりたま」に走ってほしい。
M:なるほど。私は今、乾燥タイプのふりかけを担当していることもあり、もしかしたら次の「のりたま」のリニューアルでは商品開発部側を担当するかもしれません。これだけの定番商品ですので、どこをどう改良するか悩ましいですが、自分なりに思い切りチャレンジしてみたいと思っています。
I:いいね。マーケティング部にとって、商品開発部は欠かせない存在だから、本当に頼りにしているからね!
M:ありがとうございます。商品開発部にとっても、マーケティング部は衝突することも多いですが(笑)、やっぱり社内でも一番信頼できる仲間だと思っています。私たちが商品や品質を見て、マーケティング部がお客様や世の中をしっかり見ていくことで、長く愛され続ける定番商品になっていくと思うんですよね。
I:本当に、そうだね。今回は、いろいろな話を改めてじっくりできて良かったよ。いつも無茶を言ってごめんね(笑)。
M:いえいえ、こちらこそ、マーケティング部の意見があってこそ、いいものができると思っています。これからも、よろしくお願いします。